骨粗しょう症とは
骨粗しょう症は、ホルモンバランスの変化や老化などが原因となって骨の量が減少し、骨がスカスカになる病気です。骨がもろくなるので、骨折リスクが高くなってしまい、要介護状態に陥る患者さんも非常に多くいらっしゃいます。
骨粗しょう症は特に女性に多い病気で、患者さんの80%以上が女性といわれています。
閉経期を迎え女性ホルモンの分泌が低下することにより急激に骨密度が減るため、同年代の男性よりも早くに骨密度が低下してしまいます。
なお、最近は高齢の女性だけでなく、若い女性の骨粗しょう症も問題視されています。偏食や極端なダイエット、喫煙、過度の飲酒を続けている方は、比較的に若い段階で骨粗しょう症に至ることあるので、早めに対策を講じておくことが大切です。
また、特定の薬や病気が原因で発症しています骨粗しょう症もあります。代表的な病気としては、関節リウマチ、糖尿病、慢性腎臓病、副甲状腺機能亢進症などです。また、薬の副作用による骨粗しょう症では代表的なものにステロイド薬の長期服用があります。
骨粗しょう症の予防と治療
骨粗しょう症の原因のうち、年齢や性別、遺伝的な体質などは変えることができません。しかし変えることのできる要素、すなわち食生活や運動などの生活習慣を見直すことにより、予防と改善が可能です。
食事療法
骨粗しょう症の治療や予防に必要な栄養素は、骨の主成分であるカルシウムやたんぱく質、骨のリモデリングに必要なビタミンD、ビタミンKなどです。カルシウムは、食品として700~800mg/日、ビタミンDは400~800IU/日、ビタミンKは250~300μg/日を摂取することが推奨されています。これらの栄養素を積極的に摂りながら、しかもバランスの良い食生活を送ることが大切です。
運動療法
骨は、運動をして負荷をかけることで増え、丈夫になります。さらに、筋肉を鍛えることで体をしっかり支えられるようになったり、バランス感覚が良くなったりし、ふらつきが少なくなって転倒防止にもつながるため、運動療法は骨粗しょう症の治療には不可決です。
具体的には、ウォーキングやエアロビクスなどの中程度の強度の運動が効果的です。関節や筋肉に強い負荷がかかる激しい運動は必要ありません。散歩などは可能なら毎日、あるいは1日おきでも十分ですので、とにかく続けましょう。また、せぼねの骨折を防ぐためには、体を支える筋肉を鍛える運動が効果的です。
薬物療法
骨密度の低下が進んだケースでは、食事療法や運動療法に併せて薬物療法を開始します。骨の吸収を抑えるお薬、骨の形成を助けるお薬、健康な骨を作る上で欠かせないビタミンD製剤やビタミンK製剤などがあります。腰や背中などに痛みがある場合は、痛みを取る薬も用いられます。こうしたお薬の選択に関しては、個々の患者さんの年齢、骨密度検査や血液検査(血液中のカルシウム濃度、骨代謝マーカー)の結果などを総合的に判断し、適切な治療方法を提案させていただきます。
当クリニックでは病院や骨粗しょう症専門のクリニックでも使用されている、全身型骨密度測定装置(米国Hologic社 Horizon)を導入しております。これにより迅速かつ精度の高い測定ができます。転倒などで骨折を起こすと入院や手術が必要となることが多い、腰椎および大腿骨近位部の骨密度を測定します。骨粗しょう症を早期に発見し治療することは、骨折を防ぎ、要介護や寝たきりにならないことにつながります。
なんとなく心配だ、親や兄弟が骨折して入院や手術したことがある、長期間同じ薬を服用しているなど、骨粗しょう症で現在お悩みの方、また、将来骨粗しょう症にならなかと心配な方は、当クリニックまでご相談ください。